単発アルバイトについて

単発アルバイトの給与と確定申告の目安

質問

個人で事業を行っていますが、現場が毎回異なるため、単発でアルバイトを雇うことがあります。この場合、給与額によって確定申告が必要になるか気になります。具体的には、①フリーター、②年金受給者、③扶養内で働きたい人、④他で正規雇用されている人の4ケースです。どのくらいの給与で確定申告が必要になるのでしょうか?

回答

単発アルバイトを雇う場合、給与の支払い方法や雇用者の状況により、税務署への申告義務が異なります。個人事業主であっても、法人であっても、アルバイト給与の支払いは所得税や源泉徴収など、税務上のルールに従う必要があります。

この記事で、ケースごとにわかりやすくご説明します。

目次


1. フリーターの場合

他で働いているフリーターを単発で雇う場合、その年間の給与収入が103万円以下であれば確定申告は不要です。また、103万円以下であれば扶養にも入れます。

ここでいう「103万円」とは、実際に受け取る給与の総額(年収ベース)を指します。所得控除や経費を差し引いた後の金額ではなく、アルバイトとして実際に手にするお金の合計です。

例:Aさんが年間でコンビニやイベントスタッフの単発アルバイトを掛け持ちし、合計で102万円の収入を得た場合、確定申告は不要ですし、親の扶養にも入れます。しかし、合計104万円になった場合は扶養から外れる可能性があり、確定申告が必要になります。

給与の支払いは、源泉徴収や会計帳簿への記録が必要です。個人事業主の場合、支払った給与は必要経費として計上可能です。法人で雇用する場合も同様に給与支払い記録を残し、税務署に対して正しく申告できるようにしておくことが望ましいです。


2. 年金受給者の場合

年金を受給している方が単発アルバイトとして働く場合、考え方が少し異なります。

まず、公的年金の年間収入が400万円以下であれば、アルバイト収入は年間85万円までなら確定申告は不要です。

ここで重要なのは、「85万円」というのは所得控除後ではなく、アルバイトとして実際に受け取る給与の合計額(年収ベース)の目安であることです。

例:Bさんが年金を月10万円(年間120万円)受け取っている場合、アルバイト収入が年間80万円なら合計で200万円の収入となりますが、確定申告は不要です。もしアルバイト収入が86万円を超える場合、確定申告が必要になります。

給与の支払い方法や源泉徴収の有無、帳簿への記録もきちんと行うことが大切です。税務署に相談すれば、具体的な申告方法や控除の範囲についても丁寧に説明してもらえます。


3. 扶養内で働きたい人の場合

扶養内で働きたい人の場合、フリーターと同じく年間給与収入が103万円までであれば、所得税の確定申告は不要ですし、扶養から外れることもありません。

例:Cさんが単発のイベントスタッフや軽作業を掛け持ちし、年間合計で95万円の収入を得ている場合、扶養内であり、申告は不要です。

ただし、注意点として、税法上の扶養と社会保険上の扶養は基準が異なることがあります。税法上は103万円までですが、社会保険上は130万円未満が目安で、これを超えると社会保険から外れる可能性があります。

単発アルバイトであっても、この違いを理解し、必要に応じて税理士に相談することをおすすめします。


4. 他で正規雇用されている人の場合

正社員など他で正規雇用されている人を単発で雇う場合、多くは「日雇い」という形で給与を支払います。

給与の源泉徴収には区分があり、日雇い・臨時雇用の場合は丙欄(ひょうらん)という区分を使います。簡単にいうと、丙欄は「その日だけ働く人用」の計算方法で、1日あたり一定額までは源泉所得税がかかりません。逆に、乙欄(おつらん)は副業など年末調整をしていない人用の計算方法で、日額に関わらず給与から源泉徴収される可能性があります。

具体例:Dさんが本業で正社員として働き、休日に単発アルバイトを月4回、1日9,000円で行った場合、雇用主は源泉徴収を行う必要はありません。Dさん自身も、その部分だけで確定申告は不要です。ただし、年間の収入合計によっては本業の年末調整や確定申告で調整されることがあります。

一方、日給が15,000円など高額の場合、その日の分については源泉所得税が引かれます。日額ベースで源泉徴収の有無が決まるのが日雇い給与の特徴です。

給与支払い時には、源泉徴収の有無、税務署への提出書類、給与計算の方法を正しく行うことが重要です。税務調査が入った場合でも、帳簿や支払記録が整っていれば安心して対応できます。


5. 税務調査や税理士への相談活用

単発アルバイトの給与支払いについて疑問がある場合、税務署や税理士への相談は有効です。

税務署に問い合わせれば、確定申告の必要性や源泉徴収の方法を教えてもらえます。税理士に依頼すれば、給与計算、帳簿への記録、申告方法まで包括的にサポートしてもらえます。

税務調査が入った場合も、税理士の助言に従い給与計算や帳簿管理を行えば、問題なく対応可能です。個人事業主や法人がアルバイトを雇う場合、税理士と連携することで、正しい申告と節税の両立が可能です。


6. まとめ:単発アルバイトの給与と申告のポイント

    • フリーターや扶養内の方 → 年間103万円までなら確定申告不要
    • 年金受給者 → 年金+アルバイト収入で年間85万円までが目安
    • 他で正規雇用されている方 → 丙欄を用いた日雇い給与計算の場合、1日あたり9,000円までなら源泉徴収は発生しません

給与支払い記録を整え、税務署や税理士に確認することで、税金トラブルを回避しつつ、必要な控除や節税も正しく適用できます。単発アルバイトであっても、会計帳簿に記録を残し、給与や源泉所得税の計算方法を把握することが重要です。

これにより、個人事業主や法人がアルバイトを雇う際に、税務署からの確認や税務調査に対応しやすくなり、安心して事業運営に専念できます。

税務調査について何かお困りのことがございましたら、当事務所でよろしければ対応可能ですので、こちらの無料相談の電話番号にご連絡くださいませ。